竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
「わたし、きずな君が好き」


 その時、あまりにも唐突に、逢璃がそう口にした。
 俺は逢璃を見つめたまま、目を丸くする。
 信じられなかった。信じられないぐらい、嬉しくて堪らない。


(逢璃が俺を好き――――?)


 彼女の声を頭の中で何度も反芻し、俺は喜びに打ち震える。


「もしもきずな君が、ほんの少しでもわたしを好きって想ってくれているなら……わたしをきずな君の彼女にして?」


 何も言わない俺に、逢璃はそう言った。瞳が不安げに揺れている。


「……少しなんかじゃない」


 答えながら俺は、自分の顔が真っ赤に染まっていくのを自覚していた。
 全然、ちっとも、少しなんかじゃない。逢璃が知れば、重くて嫌になるほど、俺の気持ちは強いのに。


(今からでも伝わるだろうか)


 自分の想いを伝えたくて、俺は逢璃の手を握る。


「……俺が先に言おうと思っていたのに」


 逢璃の手は壊れそうな程、細くて小さかった。ずっとずっと、もう一度触れたいと思っていた。バクバクと心臓が鳴り響く。気づいたら逢璃がポロポロと涙を流していた。あまりの愛おしさに胸が疼く。俺は更に強く、逢璃の手を握った。


「好きだよ、逢璃。逢璃のことが、どうしようもないぐらい、好きだ」


 用意していた告白の言葉とは全然違う。
 けれど、逢璃は嬉しそうに、何度も何度も頷いてくれた。それがあまりにも嬉しくて、俺は逢璃にバレないように、こっそりと涙を流した。
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