空に飛んだら
目が覚めたら病院だった。
家とは違う,病院独特の匂いがした。
私はぼんやりとしたまま天井を見つめた。
あぁ。死ねなかったんだ。
遺書まで書いて,準備をしっかりして。
なのに馬鹿みたいだ。
そう思うと涙が止まらなかった。
手で涙を拭こうと顔を触ろうとしたが,鈍い痛みが走りうまく拭けなかった。
私が寝ているベットはカーテンで仕切られているから周りが見えない。
カーテンがあるということは,個室ではないのだろう。
重い体をなんとか動かし,少しずつ起き上がる。
手を後ろにつき,まずは自分の体を見て見た。
私は手と足,そして腰に包帯が巻いてあった。
足はギブズまでしてあるから,おそらく骨折だろう。
これでは治るまで思うように動けない。
私は唇を噛み締めた。