月下の君には秘密です。
「…あ~。ほら、見て。アッキー!オリオン座~!」
「…俺、オリオン座…好き。」
いつの間にか…、
花火は終わっていて。
夜空には、
いつもの光景が戻っていた。
紗季は俺の涙が止まるまで、頭を撫で続けてくれていた。
「…なんか好きな理由あるの?」
紗季は俺にそう聞いて、
俺は涙目のままコクリと頷く。
もう…
俺の気持ちを見抜かれて、
涙まで見られた以上、
紗季には強がる理由すら見つからなくて…、
俺は珍しく素直になれた。
「…あの中心の3つの星みたいに、いつでも一緒に並んで居たかったんだ…。俺と井上と、月ちゃんと…」
「…ふふッ。まるで、さっき3人で手を繋いでいたみたいだね?」
そんな紗季の思いがけない言葉に目を潤ませて、俺は頷きながらオリオン座を眺めていた。
「…あの星たちみたいに、アッキーがアッキーのままなら、これからも変わらないよ。一緒に居れるよ、きっと…。」
「……泣かすなよッ…」
俺は紗季を少し睨んで、鼻をすすった。
紗季は明るく笑ったけど、心の中では絶対傷付いてる。
俺が、傷付けたんだ。