月下の君には秘密です。


「…あれ?女だらけじゃんッ。」

俺はそう気付いて、月ちゃんを見た。


俺の父さんはサービス業で、日曜は決まって仕事だけど。
あとの二人は…?


「あぁ、うちの父さん達は今日から海外出張らしい。」

「また海外…?」


俺たち3家族の関係は、ちょっと複雑。
近所って以外にも色々と結び付いている。


月ちゃんの父さんと井上の父さんは仕事の同僚で、月ちゃん家の方が上司。
難しい事はよく分からないけど、植物の改良とかをしてる人。

井上も園芸部という程、井上家はおばちゃんを含めた全員が植物好きで庭もこうなっているわけ。


それに加えて、

俺の母さんと井上の母さんが学生時代からの友達で、いまだに最強タッグを組んでいるってわけ。


穏やかな庭。
さぁ…と吹く風は冷たいけれど、そこは俺たちにとって温かな空間だった。

随分と大きくなった銀杏の木の下には、黄色絨毯。
周りには赤々と映えるモミジの木。


「…何してるの~?早く来なさいよぉ。」

そう呼ぶ声に、
俺の顔は少し引きつった。

男が、俺たち二人。

…完ッ全に、
イジられるの、俺じゃん。

味方は、月ちゃん一人。
勝てるかな…?


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