【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜
□夫の得意料理

母親の味



 頼まれた仕事なら、しっかりとこなしてみせるわ。私にも先輩としてのプライドくらいあるんだから。

「さすが天音くんだね。頼りになるよ、本当に」

「いえ」

 入社して六年、私にとってこの仕事は誇りだ。死ぬまで働くのが、私の目標なのだから。

「この件は、天音くんにそのまま引き継いでいいかい?」

「はい。大丈夫です」

 係長は「何かあれば、遠慮なく言ってくれ」と肩をたたく。

「ありがとうございます。 では、次の仕事の打ち合わせに行ってきます」

「よろしく頼むよ」

「はい」

 私は次の仕事の打ち合わせをするため、再び会議室へと向かう。





✱ ✱ ✱


「お疲れ様でした、天音さん」

「お疲れ様。気をつけてね」

「ありがとうございます。 じゃあ、お先に失礼します」

 私よりも先に仕事を終えた後輩を見送ると、私は再びパソコンに目を向ける。

「はあ、疲れた……」

 やばい、やることが多い。 あれもこれもとると、なかなか大変だ。

「よし、もうひと踏ん張りだ……」

 気合いを入れ直し、再び見積書を作成していく。

 

「やっと終わった……」

 見積書の作成が終わると勤怠を押し、パソコンの電源を切る。
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