【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜


「桃子、お疲れ」  

「千歳、お疲れ」

 帰る準備をしていると、仕事を終えたばかりの千歳がやってくる。

「もう終わったか?」

「うん、今終わった」

 千歳は優しい笑みを向け、私に「じゃあ、帰ろうか」と頭を撫でてくる。

「うん、帰ろっか」

「お腹減ったな」

「ね、お腹減ったね」

 今日の夕飯はなにを作ろうか考えていると、千歳からこんなことを言われた。

「桃子、今日の夜は俺が夕食作ってやろうか?」

 その言葉に思わず「え、千歳が? 千歳が作るの?」と聞き返してしまう。

「なんだよ?」

「う、ううん。ほんとに?って思って」

 千歳がまさかそんなこと言うなんて、思いもしなかった。

「たまには、俺も料理したくなったんだよ」

「そうなんだ。 じゃあ、作ってもらうかな?」

 千歳は私に「任せておけ。美味いもん作ってやるから」と、自信満々な表情を浮かべている。

「じゃあ、お願いします。……旦那様」

 旦那様って言うのは、少しだけ恥ずかしいのだけど、たまには呼んでみるのも……アリかな?

「旦那様ね。嬉しいね」

「た、たまには呼んであげようかなって思って」

「出た、ツンデレ」

「ツンデレじゃない」
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