虜にさせてみて?
和やかに思われた雰囲気を覆すように、響君が出してくれた飲み物が実は水だったことが判明する。

『早く帰れ!』と言わんばかりの水攻撃が効かない二人……。

美奈と湊君は二人でじゃれ合っている。響君はクローズ5分前だからか、片付けを始めた。

目が、目が……本気で怒っていてつり上がっているし、 何か言いたそうだ。

「美奈ぁ、帰ろうよ。響君、ちょっとキレ気味なんだけど……」

こっそりと耳打ちする。

「……よしっ、分かった! 二次会行くぞ! 響君も行くでしょ?」

たかが一杯飲んだだけで、テンションが高い二人。

「響君ともっとゆっくり話したいから近くのバーに行こうよ。もちろん、歩きだけど……」

港君まで響君にからんでいる。響クンはアタシをチラッと見る。

見てから、「ひよりが行くならね、いーよ」と答えた。

美奈の押しには勝てないだろうと思ったのか、響君は勝ち誇った笑顔。

本当は帰りたかったみたいだが、美奈が提案したのが響君の行きたがっていた近場のバーなので鞍替えしたようだ。

あのバーは私に何か関係していると響君が勘づいているからこそ、彼は好奇心の為に行ってみたいのだと思う。

私は行く事は出来ない。お願い、風向きが変わりますように……。

「もちろん、ひよりは私が連れてくから大丈夫だよ」

「ひよりちゃんも行こうよ? っね? 皆で行った方が楽しいよ?」

美奈だけではく、湊君まで推してくる。

どうしよう。心の中がモヤモヤしてる。

神様に最良の答えを教えて欲しい。それとも、そろそろ報いを受ける時期なのか?ただ、皆の前では拒否したい。
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