君を愛せないと言った冷徹御曹司は、かりそめ妻に秘めた恋情を刻む
私が出戻った日、真紘さんは『ひどいことを言ってごめん』と何度も謝ってくれた。

同い年の義弟は、郁人さんと並び立つくらい心優しい。

「真紘さん……」

「じゃあ俺今から友だちと遊びに行くから。またね」

話が終わると、真紘さんはさっさと離れを出て行った。

相変わらずあっという間にいなくなる。一応私たちに気を使ってくれているのだろう。

「なんだ、そんなに心配か?」

私がいつまでも深刻な表情をしていると、郁人さんは苦笑いした。

「はい」

「安心しろ。みちるも会社も俺が守る」

頼もしい言葉と共に抱き寄せられた。

郁人さんがそう言うのなら絶対に大丈夫だ。

「そういえば、結婚式をどうするか早く決めなければな」

不意に彼がその話を持ち出した。

この頃、お義父さまにせっつかれているのだ。

「できればこぢんまりした結婚式がいいのですが、難しいですよね?」

「花嫁の望みのままに」

「本当ですか?」

「ああ。みちるの希望を当ててやろうか?」

首をかしげると、彼が続ける。

「海が見えるチャペルで結婚式を挙げたいんだろう?」

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