君を愛せないと言った冷徹御曹司は、かりそめ妻に秘めた恋情を刻む
史乃さんというのがいったい誰なのかはわからないけれど、家柄的に政略結婚ならありえる話なのだろう。ただ私のような女性が兄の結婚相手に選ばれるとは思ってもみなかったみたいだ。
でも真紘さんがそう言うということは、彼は私たちの親の事情を知らないのだろうか。
「桐嶋のおじさまは、私と郁人さんの双方がこの結婚に難色を示すのなら諦めるとおっしゃいました」
私はふたりに伝えた。
「えっ、そうなんだ。じゃあ結局結婚しないのか。兄さんもみちるちゃんも乗り気じゃないんだろ」
真紘さんは残念そうに息をついた。
郁人さんは一言も発しないが、私との結婚など語るまでもなく許容できないのだろう。
「じゃあ俺とみちるちゃんが結婚するっていうのはどう? 年齢も一緒だし、むしろ兄さんとよりお似合いじゃない? ちょうど今、彼女いないし」
いきなり軽い調子でものすごい提案をする真紘さんに、私は目を丸くする。
「いや、それは……」
いったいどう考えればそうなるのだろう。
兄がだめなら弟なんてありえない。
「ばかばかしい」
私の代わりに郁人さんが一蹴した。
真紘さんは不服そうに唇を尖らせる。
でも真紘さんがそう言うということは、彼は私たちの親の事情を知らないのだろうか。
「桐嶋のおじさまは、私と郁人さんの双方がこの結婚に難色を示すのなら諦めるとおっしゃいました」
私はふたりに伝えた。
「えっ、そうなんだ。じゃあ結局結婚しないのか。兄さんもみちるちゃんも乗り気じゃないんだろ」
真紘さんは残念そうに息をついた。
郁人さんは一言も発しないが、私との結婚など語るまでもなく許容できないのだろう。
「じゃあ俺とみちるちゃんが結婚するっていうのはどう? 年齢も一緒だし、むしろ兄さんとよりお似合いじゃない? ちょうど今、彼女いないし」
いきなり軽い調子でものすごい提案をする真紘さんに、私は目を丸くする。
「いや、それは……」
いったいどう考えればそうなるのだろう。
兄がだめなら弟なんてありえない。
「ばかばかしい」
私の代わりに郁人さんが一蹴した。
真紘さんは不服そうに唇を尖らせる。