朝の光をあなたと感じて
パッと顔をあげると、彼は「ん?」と首を傾げた。

それを見て、顔が一気に熱くなる。

夜だし、薄暗いし、顔色の変化に気付かないかもしれない。しかし、わかってしまったようだ。

「顔、少し赤いね。もしかして、お酒飲んだのかな? 少しアルコールの匂いがするね。凛花、お酒飲める年齢なの? 何歳?」

彼からの質問に落ち着いて答えようと、胸元に手を持っていく。

「飲みました。一応これでも二十歳で大学三年です」

「そっか、高校生なのかなとも思っていたけど、こうして見ると大人に見えるね。俺から比べたら、二十歳はかなり若いけど」

「服装によっては、高校生に見られることあります。あの、お、お兄さんはおいくつですか?」

彼は「フフッ」と笑う。

よく笑う人だな。私、そんなおかしなことばかり言っているかな。

「お兄さんと呼ばれるの久しぶりすぎるというか、新鮮だな」

「ごめんなさい。馴れ馴れしくて」

「ううん。馴れ馴れしいのは俺の方だよね? 凛花って、呼んでるものね。でも、おじさんと呼ばれなくてホッとしたよ。俺は三十二歳。ひと回りも違うからおじさんだけど」
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