センセイとわたしのただならぬ関係
「だから……そんな顔するなって」

 それから、長い指でわたしの顎をすくうとキスをした。
 
 触れたか触れないか、わからないほどのものだったけれど。

「……!」

 それでも、初めてのキスの衝撃に、わたしは本当に固まってしまった。

「俺も男だからさ。こうやって具体的に梅谷を可愛がりたい欲望を持ってるんだよ」
「は、は、はい」

 ぐ、具体的にというと……

 ああいうことやこういうことも、かな。

 先生なら……別にいいんだけど。
 そうは行かないか、やっぱり。

「さ、もう行くよ」
「わ、わかりました」
 わたしはこくんと頷いた。
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