午後2時のカフェオレモーニング
🍃6月27日
今日もあの男性は朝一番に来た。
「いらっしゃい。」
「モーニングを。テラス・・・いいですか。」
「どうぞ・・・」
「今日のスープは?」
「トマトクリームスープ。」
「・・・おいしい。」
「トマトの酸味が少し抑えられて飲みやすいでしょ。では、ごゆっくり。」
1時間半位してスーツを着た男性が店に入ってきた。
「いらっしゃいませ。」
「コーヒーを。」
メニューも見ずにその男性は注文をした。
「ブレンドでいいですか?」
「あっ、ブレンドでお願いします。」
「お待ちください。」
「あの・・・この店にこの男性来ませんでしたか?」
その男性は携帯を見せた。
「・・・いえ、見かけたことないけど。誰なのこの人・・・」
「ご存じないですよね・・・ 最近人気の若手作家です。」
「へー、それであなたは?」
「僕は出版社の編集で山田といいます。この平木 凌の担当です。もし見かけたらこの携帯に連絡貰えませんか。」
山田は名刺を差し出した。
「締め切り間近なのね。」
「そうです。彼はたまにプラっといなくなっちゃうんです。いつも電話しても出ないから、この間彼の携帯にGPS仕込んだんですけど、その場所にはいないみたいで・・・きっと携帯置いてどこか行ってしまったんでしょう。近くにはいるんだろうけど・・・まいっちゃうんだよなー。」
山田は頭をかいていた。
「はい、コーヒーどうぞ。あなたも大変ね。始発で来たんでしょ。」
「そうです。締め切り前に必ず連絡取り合うんですけど、連絡付かないから来ちゃいました。」
「そう。ご苦労様。」
山田の携帯が鳴った。
「電話は外でお願いね。」
「はい。・・・」