午後2時のカフェオレモーニング

🍃6月27日


今日もあの男性は朝一番に来た。

「いらっしゃい。」

「モーニングを。テラス・・・いいですか。」

「どうぞ・・・」


「今日のスープは?」

「トマトクリームスープ。」

「・・・おいしい。」

「トマトの酸味が少し抑えられて飲みやすいでしょ。では、ごゆっくり。」



1時間半位してスーツを着た男性が店に入ってきた。

「いらっしゃいませ。」

「コーヒーを。」

メニューも見ずにその男性は注文をした。

「ブレンドでいいですか?」

「あっ、ブレンドでお願いします。」

「お待ちください。」

「あの・・・この店にこの男性来ませんでしたか?」

その男性は携帯を見せた。

「・・・いえ、見かけたことないけど。誰なのこの人・・・」

「ご存じないですよね・・・ 最近人気の若手作家です。」

「へー、それであなたは?」

「僕は出版社の編集で山田といいます。この平木 凌(ひらき りょう)の担当です。もし見かけたらこの携帯に連絡貰えませんか。」

山田は名刺を差し出した。

「締め切り間近なのね。」

「そうです。彼はたまにプラっといなくなっちゃうんです。いつも電話しても出ないから、この間彼の携帯にGPS仕込んだんですけど、その場所にはいないみたいで・・・きっと携帯置いてどこか行ってしまったんでしょう。近くにはいるんだろうけど・・・まいっちゃうんだよなー。」

山田は頭をかいていた。

「はい、コーヒーどうぞ。あなたも大変ね。始発で来たんでしょ。」

「そうです。締め切り前に必ず連絡取り合うんですけど、連絡付かないから来ちゃいました。」

「そう。ご苦労様。」


山田の携帯が鳴った。

「電話は外でお願いね。」

「はい。・・・」
< 10 / 46 >

この作品をシェア

pagetop