俺はずっと片想いを続けるだけ*2nd

許すまじ、余計なことを!~グレイス

全く、余計なお話をしに来られたものだと、私は腹が立っていました。

ドノヴァン様とは初等部からの同級生で、女性に対してだらしがないのはアレですが、それ以外は特に嫌なところがなかったので、お話はよくしていたのです。

それなのに、急に会いに来られて。
旦那様の前で復学の話をされるなんて。
私本人に事前の断りもなく、こんな勝手なことをなさる御方だったなんて。


あ、旦那様と呼ばないで、とクリストファー様御本人から頼まれたのですが。
私は心の中ではずっと旦那様と呼んでいるのです。

旦那様が仰ったように、様も付けず
『クリストファー』も良いかと思いますが……

友人の中では幼馴染みとお付き合いしている子達は相手のお名前を呼び捨てていて。
名前に様を付けるのは、婚約者なら結婚前では普通の事で。
だけど旦那様なんて今呼べるのは、学園では私だけ。


マウントを取りたい女、私はグレイス。なのです。
心の中で旦那様と呼んでにやけてしまう私。なのです。

目の前でドノヴァン様が何か力説されていますけれど、私はにやけてしまう顔を押さえるのに必死でした。

(ふふん、ウチの旦那様素敵でしょう?
貴方のようなガキ、いえ子供とは違うの)


貴方が今仰られた、ちょっとした怪我の真相も
ちゃんと聞いているのですよ。
女生徒達のお手紙連絡網に、私はまだ入っているのです。

このドノヴァン様という御方は多くの火遊びをされているけれど、おイタが過ぎて最後には黒焦げにされてしまうかも、なんて思っていたりもして。
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