俺はずっと片想いを続けるだけ*2nd

海辺のホテルで決めました!~グレイス

「貴女が復学したいと言うのなら、私が何とか致しましょ」

昼食の席で、お義母様が仰られました。
最初は少し怖いひと?と、お義母様の事を恐れていた私でしたが、グラッドストン侯爵家に嫁いでひと月が経ち、お義母様の優しさに触れることも多くなりました。
さすがは侯爵夫人だ、と憧れる部分の方が多くて。

私の実家のお母様は、あの、何と言えば良いか、あの……
少女の様な方なのです。
何でもお母様のせいにするのは心苦しいのですが、私が友人達に比べて幼いと評されるのは、お母様の影響も大きくて。


「学年末試験など受けなくても、済むようにするわ」

「ありがとうございます、お義母様」

「確かにね、卒園だけはした方が良いかもしれないわね。
 何処の学校を卒業したのかとか、つまらないことであれこれ言う輩もいるのよ」

「卒園証書だけ貰っちゃえば、いいからね」

「先輩、心強いです、ありがとうございます!」

クレイヴン先輩が頼もしいことを仰います。
あ、私の義妹になられたカリーナ様は、私には2学年上の先輩に当たるので、つい『先輩』って言ってしまうのです。


「んー、貴女はホントに可愛い天……」

「あのね、グレイス!」

何か言いかけられている先輩の言葉を塞ぐように、旦那様が私に話しかけられました。


「さっき話した旅行の事なんだけど」

「はい、旦那様」

私が旦那様と言う度に、ご家族の皆様や使用人の皆さんのご様子がおかしいことに、最近気付きました。

この昼食の席には、お仕事に出られているお義父様はいらっしゃいませんが、実はこの侯爵様が一番もだもだされるのでした。

本日は給仕をしている男性がもだもだして、メインをサーブする手が震えていました。


「昔、我が家でよく行っていた海岸のホテルがあるんだ。
 夏にはまだ早いから、今なら混んでいないと思う。
 午前中に知らせを走らせているから、部屋も用意されているだろう。
 そこに3日ほど行かないか?」


えーっ、海?海?海!
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