イケオジ紳士は年の離れた彼女を一途に愛し抜く
東京のアパートで使っていた机は窓際に、私たち三人分の服をしまうタンスは壁際にすでに配置されている。

祖父がカーテンを取りつけ、宗ちゃんが布団を押し入れにしまう。その様子を見た母親が、満足そうに微笑む。

「本当に助かるわ」

部屋の片隅に山積みされていた段ボール箱が、見る見るうちに片づいていく。

「あかりちゃん。これ、本が入っていた箱の中に紛れていたよ」

「ありがとう」

一学期の終業式に、クラスメイトからもらった色紙を宗ちゃんから受け取る。

「だいたい片づいたな。宗也君、悪いが段ボールを下に運んでくれるか?」

「はい」

空になった段ボール箱を折り畳んで一階に下りて行く祖父と宗ちゃんに続いて、母親とひまりも部屋を出て行く。

引っ越しの作業がひと段落してホッとしたものの、転校する私へ書いてくれた寄せ書きを見たら、東京での日々が恋しくなってしまった。

居間でみんなと過ごす気分にはなれず、ひとり部屋に残ってメッセージを読み返す。

両親が離婚して苗字が母親の旧姓である〝水瀬〟に変わった日から、クラスの男子にからかわれるようになって学校に行くのが嫌になった。けれど、仲良しだった()(はる)ちゃんと(ゆう)()ちゃんが毎朝家まで迎えに来てくれて、学校に着いてからも意地悪を言う男子から守ってくれた。
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