イケオジ紳士は年の離れた彼女を一途に愛し抜く
不登校にならなかったのは、小春ちゃんと結菜ちゃんのおかげ。色紙に書かれたふたりの〝離れ離れになってもずっと友だちだよ〟という言葉を見たら、会いたい気持ちが込み上げてきてしまった。

そうだ。コツコツ貯めたおこづかいで、夏休みの間に東京に行こうとひらめく。しかし、八月になったら駅前の和菓子店で働く母親の代わりに、保育園に通い出すひまりの送り迎えを頼まれていたのを思い出す。

小春ちゃんと結菜ちゃんに会いに行くのは無理だ。

肩をシュンと落とすと、母親が部屋に顔を出した。

「宗ちゃんと夕食の買い物に行くけど、あかりも行く?」

「行かない」

人が悩んでいるときに呑気なことを言い出す母親に苛立ち、素気なく返事をして背中を向ける。

「そう。ひまりだけど居間で寝ちゃったの。おじいちゃんが様子を見てくれているけど、なにかあったら頼むわね」

十歳年下のひまりはかわいいけれど、妹の面倒を見るのを当然のように言われるのはおもしろくない。

モヤモヤする思いを胸に抱えたまま黙ってうなずくと、母親が一階に下りて行く。

シングルマザーとしてがんばって私たちを育ててくれている母親を少しでも楽をさせてあげたい気持ちはあるのに、素直になれない自分が嫌になる。

母親の足音を聞きながら、反抗的な態度を取ってしまったこと後悔した。
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