11年目のバレンタイン〜恋を諦める最後の告白
「……美幸ちゃんの意見を聞いていいかな?」
スマホの画面に指輪の人気ブランドを表示し、真人さんが遠慮がちに訊ねてきた。
「参考のために麗奈にも聞いたんだが、あいつハリー・ウィンストンとか言うんだ。さすがに婚約指輪に百万単位はキツイ」
……婚約指輪。
きっと、美穂さんにプロポーズするために用意するんだよね?
胸が、張り裂けそうなくらいに悲しかった。
羨ましい……美穂さんが。
真人さんに選ばれた彼女が。
彼の隣にずっといる資格を得られたんだから。
わたしがどれほど焦がれても、永遠に手に入らないもの……。
生まれてから20年間、一番間近にいてずっと恋してきたのに。
出逢ってたった数年のひとに負けてしまった……。
(でも……でも……やっぱり真人さんには幸せになってほしい。ずっと妹のために頑張ってきたんだものね……)
麗奈を育てるために、どれほどプライベートを犠牲にしてきただろう。慣れない親代わりなんて、いくら家族でも大学を出たばかりの男性には難しいだろうに。激務の仕事の合間を縫って、彼は頑張ってた。
わたしが隣でないのは悲しいけど…。
やっと、彼は彼自身の幸せを考えられるようになったんだ。
だから……
わたしは、笑っておめでとうと言おう。