婚約破棄したい影の令嬢は
「‥‥っ、離してください!!」

「待て、最後まで話を‥」

「早くッ!手を離してーッ!!」


バタバタと暴れ続けるディアンテに苛立ったフィリップは、ディアンテの手をグイッと引っ張り上げてから、思いきり頬を叩いた。

パァンと叩かれた音と共に、ディアンテの眼鏡が滑り落ちて床でガシャンと音を立てた。
ディアンテが慌ててそれを拾い上げようとした瞬間‥メキメキと音を立てて眼鏡が潰れた。

それはフィリップがディアンテの眼鏡をブーツで踏み潰した音だった。


「‥‥ぁ」


ディアンテは眼鏡に手を伸ばしたまま、膝から崩れ落ちた。
ディアンテの手の力が抜けたのを、フィリップは満足そうに笑いながら再び口を開いた。


「はぁ‥全く手間をかけさせるな」

「‥‥」

「そして、新たな婚約者としてティファニー・ルルシュを迎え入れる事を宣言する‥っ!!」

「‥‥」

「お前とだけは結婚出来ない。ティファニーくらい美しくないと俺に釣り合わないんだよ‥わかるだろう?」
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