婚約破棄したい影の令嬢は

早口で別れを告げたディアンテに、気に入らないと言わんばかりにフィリップが声を上げる。
ディアンテは速やかにこの場を立ち去らなければならない。

フィリップを無視して出口に向かおうとすると、腕を掴まれる。
心臓があり得ない程、ドキドキと音を立てていた。
周囲の視線がディアンテ、フィリップ、ティファニーに集まっていく。

ディアンテが焦っている様子を見て、フィリップは何を勘違いしたのかは知らないが、嬉しそうにニヤリと笑った。
そしてあろう事か、再び大声で叫び出したのだ。


「ーーフィリップ・サムドラはディアンテ・アールトンと婚約破棄をするっ!!」

「ッ!!」


あまりのフィリップの大声にディアンテは固まった。
会場はシン‥っと静まり返っている。

(あり得ないッ!!)

ディアンテは力一杯、フィリップの手を振り解こうとするがフィリップはディアンテの腕に跡が残るほど強く握り締めている。
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