婚約破棄したい影の令嬢は
ーーーあれから数年経った




フィルズは暇があれば妖精の森へと足を運んだ。
そんなフィルズは周囲から変わり者と呼ばれていた。
結婚もせずに、フィルズはあの少女に焦がれて森へと通う。

あの少女に助けられた場所まで行ってから、独り言のように少女に向けて語っては夕陽と共に家へと帰る。

誰かがフィルズに言った。

「お前は妖精に魅入られた」のだと。




けれど、あの時の少女と出会う事は無かった。
周囲の目もあり、ここに通うのも限界だった。


「もう二度と、君に会う事は出来ないんだね‥」


両親が結婚相手を決めろと煩く、逃げ続ける事は出来なかった。


「‥‥死ぬまでに、君に会いたかったな」


そう言って、重い腰を上げた時だった。
今日で此処に来るのも最後にしようと思っていたのだ。
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