婚約破棄したい影の令嬢は
「フィリップ‥そんなに見つめられると彼女も困ってしまうよ」

「あ‥‥すまない。あまりにも、その‥‥美しすぎて」

「ありがとう‥‥嬉しいよ」


アルフレッドは本当に愛おしそうに隣にいる令嬢を見つめていた。
初めて見るアルフレッドの表情に、周囲は騒めいていた。


「ずっと、ずっと‥僕は彼女を想い続けていたんだ」

「‥‥そう、なのか」

「あぁ‥やっと幸せにする事が出来る」


アルフレッドの一言には重たい愛情が込められていた。
どれだけ隣の御令嬢を心の底から愛しているのか‥それが伝わるような一言だった。
髪に唇を寄せたアルフレッドに恥ずかしそうに頬を赤らめる令嬢。

その姿にフィリップの頬まで熱くなるのを感じていた。
こんな可愛らしい御令嬢がいたのなら周囲は放っていかなかったろうに。

フィリップからの熱の籠った視線に気付いた令嬢は、不機嫌そうにフィリップから視線を逸らす。
フィリップはすっかり、その令嬢の虜だった。


「‥‥可憐だ」

「彼女は少し前まで他の奴の婚約者だったんだ」

「そうなのか‥」

「酷い扱いを受けていた‥いつも暴言を浴びせられて、有りもしない噂を流されて‥‥仕舞いには頭から紅茶を掛けられたこともあったらしい。それに婚約破棄の際も有り得ない辱めを受けたんだ」

「誰がそんな酷い事を‥!っ、可哀想に‥」
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