婚約破棄したい影の令嬢は
公爵が大声でレミレを制止する。
レミレは激しく怒鳴られてベソベソと泣き出した。
そして鋭いナイフのようなアルフレッドの圧力に、レミレの足が崩れ落ちる。
「レミレ嬢‥君の心は随分と醜いね」
「‥‥‥え?」
「ねぇ、ディアンテ」
「えぇ‥そうですわね」
アルフレッドの横に佇んでいるのは妖精のように輝きを放つ美しい令嬢。
レミレはアルフレッドに"ディアンテ"と呼ばれた女性をまじまじと見ていた。
「これが、ディアンテ‥?うそ‥嘘よッ!!」
「僕の婚約者の名を、そう気安く何度も呼ばないでくれる?」
ディアンテを見ながらレミレは震えていた。
レミレを馬鹿にしたティファニーよりも、ずっとずっと比べものにならない程に美しかった。
アルフレッドの言葉を聞いて、驚きに目を見開いたサムドラ公爵と公爵夫人は信じられないという顔でヘロヘロとその場に座り込む。
自分達の置かれた状況がやっと理解出来たのか、無様にも泣き叫び出した。
アルフレッドはディアンテに「行こうか‥」と声を掛ける。
ディアンテは「待ってください」とアルフレッドを引き止めて、フィリップとサムドラ公爵家の前に立つ。