初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました

愛するひとは、ひとり

皇太子殿下の心の準備が出来たと、3人だけの
お茶会が再開されることになりました。

場所はバイロン侯爵邸のサンルームです。
前回までの温室は、室温を一定に保たないと
いけないので暖房を入れられないと、
こちらに変更されたのでした。


今回もお迎えに来てくださったエドガー様から 
『女性は身体を冷やしてはいけない』と
殿下からのご指示だと教えていただきました。


「殿下はお気遣いの出来る御方ですね」

「私達にもそのお気遣いがいただけたらと、
思います」

エドガー様が私の前で軽口を仰るのは初めて
でしたので、違うお顔を知る事が出来たようで
嬉しくなりました。
ただノーマン様と破談して半年も経っていないのに、他の男性にこのような気持ちを持つ事は少し後ろめたく思いました。


ほのかに温かく設えられたサンルームに
皇太子殿下が足早に入ってこられました。
そのまま私達がお迎えの為に立ち上がるより
先に、テーブルに着かれました。


「今日は本題に入る前に、話しておきたい事が
あるんだ」

話しておきたい事?
エドガー様の方を伺いましたが、思い当たる
ご様子はないように見えました。
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