執着男子の一途で甘すぎる溺愛は、 止められません!
そして千結の声の次に聞こえたのは教師の冷たい声だった。
「でも……っ!」
「取り消すことはできない。暴力をふるったことに変わりはない」
「…そんなっ」
どんなに説得しても教師は取り消すことはしないようだ。
まあ、そうだろう。
暴力事件だしな、見過ごせないだろう。
でも…俺が言ったら変わる。
どんなに一般生徒が言ったとしても変わらないが生徒会長の俺が言えば教師たちはすぐにコロッと変えるだろうな。
俺は目を瞑る。
『二人が彼を吹っかけてしまったんです!だから…彼は、无祗くんは悪くありません!』
千結の必死な声が頭の中をよぎる。
…千結を傷つけたくない。悲しませたくない。
俺がやるべきことは…一つだけだ。
俺は職員室の扉を勢いよくガラッと開ける。
職員室内にいた千結から教師たち全員が一斉に俺を見た。
皆が驚いている中、俺は一人の少女しか目に入らなかった。
俺はゆっくりと千結の方へと向かう。
そして千結の前で足を止める。
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