年上のお姫さま

 ドレスを着てメイクをしたヘアセットをした。
 メイク道具もドレスも靴もアクセサリーも昔のだ。
 だから全体的に痛々しい。
 若ぶっている感じになっている。
 まあ、いいだろう。
 またババアと呼ばれて嫌われるだけのことだ。
 王子様がやってきて私を見た。
 正式な場でもないのにちゃんと正装をしている。ピシッとした白いジャケットがとても格好いい。いつもはふわふわの茶色い髪もきっちり結っていて大人っぽく見える。
 そんな王子様がすごくびっくりしている。
 先に謝ろう。
「申し訳ございません」
「何の謝罪だ?」
「十年前のドレスしかなく、王子の御前に出るには相応しくない姿でございます」
「綺麗だ」
「はあ?」
「レアの白い肌によく合う……が、サイズに問題がありそうだな」
 胸と尻は大きくなっていたようで、ピチピチになっている。
「踊ろう」
 昨日とは打って変わって、私をエスコートしてダンスをしてきた。
 私を見ては幸せそうに微笑み、ちゃんと体も寄せてきているし、私をちゃんとサポートして合わせてくれている。
「レア、来月に夜会がある。俺のパートナーとして参加しろ」
 耳元で囁かれた。
 耳は弱いからやめてほしい。
「お断りします」
「俺はレア以外とは上手くダンスができないんだ。俺に恥をかかせるつもりか?」
「はあ……」
 ぎゅっと抱き締められるように組まれた。
「今まで結構色々な令嬢とダンスもしてきた。だが、今が一番ドキドキしてる」
 私もだ。
「多分、作り物の胸を当てられていたからではないでしょうか。ロクスのお相手をするご令嬢は皆様お若いですから。私は自前なので感触が違うのだと思います」
 布を当てられるのと肉を当てられるのでは流石に違うだろう。
「揉んでみていいか?」
「駄目です」
「残念だ」
 完全に両腕で抱き締められた。
 もうステップも踏んでいない。
 手で触れない分、抱き込んで感触を確かめているのだろうか。
 女性の体に興味を持つ年頃なのだろう。
 手近だっただけだとわかっているのにドキドキする。
 どうせ、若い女を選ぶのだろうとわかっているのに満たされる。
 ぎゅっと抱き返した。
「レア」
「はい」
「年下は好みじゃないか?」
「え?」
「夫にするなら、年上の頼りになる男の方が好みか?」
「何の話ですか?」
「騎士団のエリートで出世頭である俺のいとこが、レアに一目惚れしたそうだ」
「はあ……」
「俺はまだ子供だし、成人もしてないから結婚も成立してないし……。
 レアさえよければ、そいつの妻になることも可能だ。暴力とかは振るわないだろうし、酒癖は悪くないし、浮気もしないタイプだし、レアよりも三つ年上だ」
「そうですか」
 王子様のお嫁さんよりも位が下がる。
 私のためと言って、邪魔になってきた私を追い出すのか。
「次の夜会、そのいとこも来るから……、会ってから決めてくれていい」
 苦しそうに言われた。
 もしこの王子と結婚したとしても、すぐに若く美しいご令嬢を第二第三の妻として、私なんて放置されるのだ。
 それなら愛してくれる騎士様と結婚する方が幸せになれる可能性もある。
 
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