年上のお姫さま
夜会には、王子様がプレゼントしてくださったドレスを着た。
空色のドレスだ。
髪は王子様のリクエストで下ろした。
王子様が着付けやメイクをしてくれるメイドをちゃんと用意してくれた。
「レア、綺麗だ」と、ご満悦な王子様のエスコートで夜会に参加した。
そして、いとこを紹介された。
とても誠実そうな整った顔をした青年であった。
「ああ、あなたは本当にお美しいのです」
と、熱のこもった瞳で見つめられた。
ダンスに誘われて二曲踊った。
そして、ひと気のないテラスに連れ出され、抱き締められキスされそうになった。
別に早急なわけではない。
この人は私を愛している。私はそれを知ってここにいて抱き締められている。
それは私も同じ気持ちだと思われて仕方のないことだ。
全然ドキドキしない。
ダンスしても抱き締められても、幸せを感じられない。
だから、「ごめんなさい」と振り切った。
そんなことをしても、私をときめかせた王子様は他の令嬢とダンスをしているだろう。もういい感じになっているかもしれない。
ホールに戻ったら、王子様は壁際でジュースを飲んでいた。
「殿下、ダンスはされないのですか?」
私が声を掛けるとすごく驚かれた。
「レア、あいつはお前のお眼鏡には敵わなかったのか?」
「そうですね」
「じゃあ、俺と一曲踊ってください」
跪かれて申し込まれた。
周囲がざわついた。第五王子自らが誘って踊るなんて初めてだ、とか聞こえてきた。
「一曲だけですよ」
いつも通りに無感情に答えた。
「ああ」
王子様は幸せそうに私の手を取ってエスコートした。
完璧なダンスだ。
大人顔負けである。
周囲から感嘆が聞こえてくる。
そして曲が終わったら、手の甲にキスされた。
手袋越しだがこれは親愛の意味があるはずだ。
そのまま流されて何曲も踊った。
王子様は普段私に見せる子供の顔は一切せず、キリッとした王族の顔で微笑んでいる。
使い分けているのだろう。
そんな感じで夜会は終わった。