【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
 そのシルワの言葉にグルはハッとして。
 袖をまくり、腕を確認したり足を確認、自分の体を隅々見回した。

「ほんとうだ……転移魔法でみんなを精霊の森と村に運んでも、体に黒いアザができていない」
 
「それは、ほんとうなのかグル」

 それにグレも驚く。

「フフッ、私のケンゾクにしたのもあるけど……よほどエルモちゃんとの魔力の相性が良かったみたいだね。ほとんど闇の力は抑えられちゃっているよ」

「ハァ? エルモがシルワ様のケンゾク? 俺と一緒?」

「グルが好きになった子が気になって会いにいった。会ってみると彼女の魔力はとても澄んでいて、みんなを思いやる心、グルを愛する気持ち……いずれ私の後を継ぐグルとグレにとって、エルモさんはなくてはならない存在だと感じたからね」

 ――私がなくてはならない存在?

「だからって、エルモに話もせず。無断でケンゾクにするなんて……」
 
「だって、グルがいなかったら。私のお嫁さんにしようと思ったくらい」


「「はぁ!」」
 

「ダメだ。いくらシルワ様だって、エルモはやらん!」
 
 焦ったグルにグイッと引っ張られて、シルワから離される。それを余裕げに微笑むシルワ。

「フフ、冗談じゃないからね。隙があれば奪ってしまうよ」

 村のみんなに祝福の声から「がんばれ」「とられるなよ!」などの激励の言葉に変わる。

「あたりまえだ!」

 陽が暮れて。夜空に満月がのぼり、みんなの姿を獣人のにすがたを変えていく。

 グルも精霊獣の姿にかわったから、エルモもグルにもらった指輪をさわった。
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