【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
 あれから嫌な夢をみずぐっすり眠れた。
 先に起きていたグルとグレに挨拶をして、朝食は昨日の残りを温めて済ませた。

 身支度を終え宿屋をでて、王城に行くまえ荷馬車の荷台でエルモはグルの魔法で、アルベルトの姿へと変わる。

 ローブと服はグルに借りた……グルの香りがする服はいいのだけど。

 ――男性の体は……女性の私からして、すごく変な感じだった。

(一度はなってみたいって思っていたけど……この、落ち着かない違和感、二度と男性にはなりたくないわ……)

「よし、アルベルトになったな……エルモ、話を合わせる。兄貴はこの鳥カゴにいれて連れてきたことにする。そして、俺はアルベルトの協力者な」

 そう言ってグルはなにも入っていない鳥カゴをみせた。それはさっき、出店で買ったものだ。

「わかりました……じゃなかった。わかった、グル」

「ウゲッ、その声で呼ばれたくないな……これが終わっても、俺のことを"グルっ"て呼んでくれると嬉しい」

 わかった、とは声にはださずに頷いた。
 そのあと、グルは荷馬車の荷台に転移魔法陣を描いた。あと王城のどこかに、これと同じ魔法陣をかけたば転移がすぐにできる。

 王城の門で門番に"リリアからの手紙"を見せ許可をもらい城の中に入る。

「行くぞ、みんな危ないと思ったら逃げる」

「「おう!」」

 門番から連絡がいったなだろう、リリアの側近と名乗る男が、エルモたちを城のエントランスまで迎えにきた。

 彼はエルモ達に丁寧に頭を下げて。

「僕はリリア様の側近をしている、ラッサンといいます。いまから、彼女の部屋まで案内させていただきます」

「ああ、お願いするよ」

 ためしに、その彼にグレを抱っこをしてみせてみたけど、気付く様子はなかった。

 ーーやはり、気付かないか。

 見慣れた場内を歩き、着いた先はエルモの部屋になる予定の部屋だった。それもそのはず、いまやリリアはエルドラッドの婚約者ーーいずれは王妃になる人だ。
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