【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
 それを聞いて、リリアはアルベルト――エルモにあきれた瞳をむけ。

「フフ、アルベルトったらあたしに会いたくて、嘘をついたの? うけるぅ。あなたの顔タイプじゃないって、あれほどいったじゃない……あきらめの悪い人ね」

「…………」

 リリアは会わないうちに更にひどい人になったようだ……本物のアルベルトがリリアに会いたくてここに来ていたら、その言い方で彼を傷付けた。

 苦手なアルベルトじゃないけど、リリアの言動にはムカついた。
 
〈ハァ……昔も今も平気で人を傷付ける、ひどい子だな。グル、エルモちゃん、この部屋の中には"目的の毒草'はないみたい〉

 グレがグル、エルモだけに向けて話しかけた。この部屋に毒草がないとなると、別の部屋を探さなくてはならない。
 
 リリアに"帰る"と言う前に、後ろにいたグルが耳打ちする。

「アルベルト、せっかく白トラを連れてきたが……依頼主に姿が見えないのなら、ここにいても時間の無駄だ――帰るぞ」

「そうだね、見えないのなら仕方がない。リリア様、僕たちは失礼いたします」

 部屋をでようと背を向け取っ手に手をかけたとき、リリアが立ち上がり止めた。

「ちょっと待ちなさい。そのローブの男の声、ゲームで聞き覚えがある……わかった、黒い精霊獣のティーグルね」

 その名は愛する人、信頼する人にか呼ばせない、グルの本名。

「はあ? 呼ぶな、その名前はおまえが呼んでいい名前ではない! 名前がけがれる」

 リリアに名前を呼ばれて、グルの怒りが膨れ上がる。
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