【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
 あと片付けを終えベッドに潜り寝るまえ。
 窓からみえる星空を眺めながら、エルモはグルに貰ったカードを触り話しかけた。

〔グルさん、おやすみなさい〕
〔ああ、おやすみエルモ〕

 エルモはこんなにすぐ、グルから返事が返ってくるとは思っていなかった。

 彼の声を聞いて、もう少し話したくて。

〔あ、あの〕
 
 いま、寝るあいさつをしたばかりなのに話しかけてしまった。

〔なに?〕

 カードからグルの優しい声が聞こえる。

(何か話さなくっちゃ……あ、そうだ。今日のことを伝えよう)

〔あのね、グルさん。明日から隣街のパン屋で働きます〕

〔バイト決まったのか、気をつけて行けよ〕

〔はい〕

 それから、他愛もない話をして

〔おやすみなさい〕
〔おやすみ〕

 と、その日の夜の通話は終わった。



「んん――っ」

 ベッドでぐっすりと眠り目を覚ますと、グルが隣で寝ている。

 ――え、グルさん?
 
 彼は二、三日は薬草摘みで居ないと言っていたのに、いつの間にか帰ってきて私を抱きしめて眠っていたのだ。
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