【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
「回復よし、他に怪我はないか?」

「ギャオン」

「そうかよかった。心配だから黙ってどこにも行くなよ」

「ギャオン」

(グルさん、子トラちゃんに会えて嬉しそう。子トラちゃんも楽しそう……探していたと言っていたし、二人は昔からの友達なのかな?)

「お腹はすいていないか?」 

「ギャーオン」  

 言葉がわかるのか、二人は普通に話もしている。

「フフッ、グルさんと子トラちゃんは仲がいいね。少し……羨ましい」

「エルモ?」

「ギャ」

 子トラはグルからフワッと離れて胸に飛び付き、まん丸の目で下からエルモを覗き込んだ。

 さっきは重く感じた子トラだったけど、いまは羽のように軽くて、グルに支えられなくても抱っこできた。

「あら、あなたの瞳――私と同じ、サファイア色なのね」

「キューン」

 覗き込むエルモに子トラは近寄り、グルグル喉を鳴らしてエルモの頬をスリスリすり寄せた。
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