【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
 この世界が乙女ゲームだと知り目覚めると、エルモはエルドラッドのベッドに寝かされていた。

(ここ……エルドラッド様の部屋だわ? あら? みぎてが、あたたかい?)

 右手に温かさを感じて目線だけでベッドの脇を見ると、エルモの手を握り締めエルドラッドが寝ていた。

(………ずっと、私の傍にいてくれたんだ)

 優しい王子――しかし、エルモは前世の記憶を思い出し、知ってしまった。

 この手はいずれエルモから離れていくと。
 エルモはエルドラッドとヒロインの邪魔をする悪役令嬢で、彼とは結ばれないのだと。

『……エルドラッド様』

 彼の名前を呼べば、寝ていたはずのエルドラッドが勢い良く顔を上げた。
 倒れたエルモを心配して泣いたのか……真っ赤な瞳で心配そうに覗き込む。

『気が付いたか、良かった……心配したぞ』

『ごめんなさい。もう、大丈夫ですだから……エルドラッド様は泣かないで』
『ぼ、僕は……グズっ、な、泣いてなどいない!』

 泣き虫で優しいエルドラッド様……いまだけは側にいたい。徐々に思い出される物語を垣間見ながら、エルモはエルドラッドと王城で過ごした。


 月日は流れて、エルモ達は乙女ゲームの舞台が始まる、十六歳へとなった。
< 6 / 179 >

この作品をシェア

pagetop