待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~

「最初、キスされて、そういう雰囲気になって、少し驚いたけど……。初めてだって言ったら、覚悟ができるまで待つって言ってくれて」
「さすがだよね。がっついていないというか。同い年の男じゃそうはいかないわ」

 そう言われて、思わず私は口を開く。

「待ってくれたのは壮一もだった」

 しまった、と思ったときには、もう遅かった。
 和美は心底怒ったように眉を寄せている。

「……あんた、まさかまだ壮一くんに未練あるんじゃないでしょうね」

 その言葉に思わず口ごもる。
 実際、そうなのだ。

 和美は、ばん、と机をたたいた。

「いい加減にしなよ! 壮一くんのことなんて忘れて、ちゃんと幸せになりなよ! そうでないと、私許せない。もし幸せにならないなら、ひよりと絶交するから」
「えぇ! それは……」

 親友まで失いたくない。
 それは本気で思った。
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