初恋を拗らせたワンコ彼氏が執着してきます
「あーあ、おっさんより、若い男の方がよかったのかな。なあ、佐山はどう? 年下の男の方がいい?」
「え?」
 彼は透との関係を知らないとはいえ答え辛い質問だ。

「考えたことないけど、どうかな……逆に言ったら、島津くんは年上の女性と付き合える?」
 誤魔化すように唯花が聞くと島津はうーんと首をひねった。

「そうだなぁ、付き合うのはいいとしても結婚となったらやっぱり年下の女性の方がいいかな」
「……だよね」
 
 意図せずため息交じりの声が出てしまった。島津はハッと気づき慌てだす。

「え、いや、違う!佐山が若くないって言ってるわけじゃないぞ」
「いいのいいの。本音で言ってくれてありがと。てかあんまり否定すると逆効果だから」
 唯花が笑って言うと彼はさらに焦ったようだ。

「まてまて、本当に! 佐山は昔から落ち着いた美人だって結構人気あるんだ。仕事が出来過ぎて声かけづらい奴が多いだけで。それに最近色気が出てきたって同期の間で話題に……ってすまん。セクハラだな」
「……いいって」
 
 こういう迂闊な所が振られる原因だったのではないか。いい奴なのだけど。そう思っていると彼は肩を落とす。

「彼女、こういう俺のアホなところに呆れて他の男がよくなったんだろうな」
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