怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
 電話を切った私は久米さんに事情を簡単に説明し、急ぎでタクシーを呼んでもらった。
 短時間で身支度を整えて家を出る。

 昨日の父の電話では融資を頼むあてがあるような口ぶりだったけれど、“知り合い”とは束縒のお父さんである葛城会長だったのかと、タクシーの車内で愕然とした。
 それならそうと昨日ひとこと言ってくれれば、こんなに驚かずに済んだのに。
 
 ㈱葛城リゾートの本社ビルは都内の一等地にある。
 タクシーを降りた私はバタバタとビルの中へ駈け込み、葛城会長がいらっしゃる最上階の会長室へと案内してもらった。

 もうすぐ着くとタクシーの中でメールをしておいたからか、部屋の扉の前で束縒が待っていてくれた。


「ごめん、束縒。うちのお父さんが迷惑かけて」


 顔を合わせるなりそう口にすると、束縒は困ったような表情で口元に手をやった。


「結論から言うと……会長が全額融資するってことで話はまとまった。うまくいきそうだ」

「ほんとに?!」


 さすがは㈱葛城リゾート。
 私の父と違ってグループの最高責任者である葛城会長は本当に偉大な人だ。


「悪い。先に謝るけど、親父を説得するためにひとつだけ盛大なウソをついた。その話を振ってこられたら適当に話を合わせてくれ」

「え、ウソってどんな?」

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