怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
 でも、布団は要ると思う。
 夜に実家に寄って、使っていたものをこっそり持ってこようかな。
 それならいっそ、実家で寝泊まりしてもいいような気がしてきた。
 いや、もしもそれが葛城会長にバレたら、新婚直後から別居なのかと怪しまれるのでまずい。
 どうしたものかと考えつつも、仕事が溜まっていたので一旦頭をそちらに切り替える。


 だけどその日の午後、驚きの一報が入ってきて、私は軽くパニックに陥った。
 それは久米さんからの電話だった。


『冬璃さん、昨日付けで私の家政婦の契約が終了になったそうです』

「え?! そうなの?」


 急に久米さんの職を奪うなんて、父はなにを考えているのだろう。
 私が結婚して家を出たから、家政婦は必要ないと思ったのかもしれないが。
 長年お世話になった人になんという仕打ちなのかと、父に対して猛烈に腹が立った。


『私は紹介所から新しい仕事を斡旋してもらうので大丈夫なんですけど、佳洋さんがあの家を処分されると聞いたので……』


 桃田の家を、売りに出す?
 そんな話は知らない。寝耳に水だ。

 あの家は父の名義なので、私に黙って勝手に売ってしまうことも十分考えられる。
 普段から私に相談なく動く。父はそういう人なのだから。

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