君が好きなだけ。
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彩海(あみ)おそーい!!」





「ごめんって!」





「ほら、早く行こ!もうみんな来てるって!」






「え、ほんとごめんなさい!」






高校生になって、初めて話せた莉愛(りあ)芽依(めい)と意気投合し、休日も一緒に遊びに行ったりする仲になった。





そして、今日は_____







「お待たせみんな!!」






「ごめん!彩海が遅刻して!」





「すいません!!!」





「いや、全然待ってないよ」





「急いでくれてありがと」





「そんな焦んなくてもいいのに」






莉愛の彼氏の颯雅(そうが)、芽依の彼氏の琉唯(るい)と、







「彩海、息すごいけど大丈夫なの?」










私の彼氏の(りゅう)と、









初のトリプルデートします。
















「じゃあ、行くか」






「暑い〜はやく中入りたーい!」






先陣を斬る莉愛と颯雅に着いて行く。






今日は、初のトリプルデートでもあるんだけど、







私と隆の、初めての休日デートでもある。







「彩海かわいいね」




「へ!?」




「私服。初めて見た時から思ってたけど、彩海に似合っててかわいい」




初めて見た時っていうのは、たぶん新入生歓迎会の林間学校。私服参加でよかったから、みんな気合い入ってて凄かった。





「……ありがと、」





言われ慣れてない“かわいい”発言に、動揺する。





「隆も、すごい、かっこいいよ?」





ちょっと反抗。言われっぱなしは悔しいから。




ちらっと隆の顔を見上げれば、耳を赤くして、口元を片手で隠してた。




「え、隆、?」




もしかして、照れた?って微かな期待を込めて、隆の顔を見ると、




「上目遣いでそれはずるい」




って、軽く睨まれながら言われた。




私は150しか身長がないのに対して、隆はもうすぐ180に届く身長。




だから、どう頑張っても私が隆を見上げるしかない。





「隆照れないでよ」




「照れてないから」




ほら行くよ、って手をつないで歩き出す。




この大きい手が心地いい。傍にいたい。






















だから、あの人のことは忘れるの。









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