3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 最後に患者のバイタルチェックや部長とオペの確認をして、万全の準備を進めていく。

「今日のオペは長丁場になるでしょう。昨日はしっかりと眠りましたか? 朝ごはんは食べてきました?」

「はい」

 部長と念入りに手を洗いながらそんな言葉を交わす。

「なんとしても今日のオペは成功させて、患者さんをまた家族のもとに帰してあげましょう」

「そうですね」

 成功する確率は正直言って少ない。だからこそ今日までしっかりと準備をしてきた。なにがなんでも成功させたい。

 手洗いを終えて消毒を済ませ、手袋をはめる。そして手術室に入った時、医師が慌てて駆け入ってきた。

「大変です!」

「どうしました?」

 困惑している医師に部長は落ち着いた声で問う。すると医師から耳を疑う言葉が飛び出した。

「今……緊急搬送されてきた患者が、高清水先生の奥さんで」

「えっ? 野々花が?」

 すかさず医師のもとに駆け寄る。

「どういうことですか? 野々花が搬送されてきたって。野々花は無事なんですか?」

「それが、その……緊急オペが必要な状態です」

 緊急オペ? それほどひどい状態なのか?
< 229 / 255 >

この作品をシェア

pagetop