幸せのつかみ方
首を振った直幸は、
「俺が正月に帰らなかったから、母さんが家を出て行ったのかなって思ったから・・・ちゃんと謝りたかった」
そう言って私の顔を見る直幸は苦しそうな顔をしていた。

「いやいや、違うから、本当に。
もし直幸が帰省してたとしても、母さんが家をでていくのが1週間後になっただけだから。
直幸のせいじゃないよ、本当に」
私が言う向いに座る裕太も何度も頷いている。

「うん。俺だって、全部自分のせいだとはさすがに思わないよ。
でも、最後の引き金になったのかなって」

自分のせいだと思ったからあんなに復縁しろとか、父さんと母さんを合わせようとしてたんだろう。
大学の時より、今の方がまめに連絡してくるから心配してたんだけど、そうゆうわけだったんだ。
直幸の言葉を聞いて、これまでの直幸の行動の理由に気が付いた。

あの頃、離婚の報告と曖昧な理由を聞いて「分かった」としか言わなかった直幸だったが、納得していないような様子は見てとれた。
しかし、責任を感じていたことには気が付かなかった。
直幸にかわいそうなことをしてしまったと後悔が募る。



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