魔法使いと監察医
「心配はいらないよ。ねぇ?冬都?」

アイビーは、じっと冬都を見つめる。冬都は息を吐き出すと「いや、僕に話を振られても……」と言葉を零す。

「あの……ユキヤ様って誰なんですか?」

圭介の言葉に、アイビーは「フォルトゥナで最強と言われていた魔法使いです。今は、亡くなられていませんが」と説明した。

「いないの?じゃあ、どうするんだ?」

星夜が首を傾げると、アイビーは「そこで、冬都の出番です」と返す。

アイビーの言葉に、蘭、圭介、星夜、碧子は首を傾げた。……が、アイビーはそれに反応することなく冬都に話しかける。

「……冬都、ユキヤ様に呼びかけてみて。今の冬都なら、きっと……」

アイビーの言葉に、冬都は心の中で強く呼びかける。

(ユキヤ様。僕の呼びかけに答えてください)

『君の呼びかけは聞こえていたよ』

どこからともなく声を聞いた冬都は、意識を失った。
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