ロマンスに道連れ




肩につかないくらいの外ハネボブで、スカートは割と短めな彼女はそう言ってけらけら笑う。どうやら莉子センパイの友達は本当に少ないらしい。



「ねえ知ってた?浦野先生のハナシ」

「なんですか?」

「浦野先生、結婚するらしいじゃん」

「え、」

「なんかうちのクラスの人が朝職員室行ったとき話してるのが聞こえたらしくて。こっちのフロアじゃ1限前から大騒ぎよ、みんなの浦野がって」

「……そりゃあ、騒ぎますね」

「朝から莉子、体調あんまよくなかったのにその噂聞いて。保健室行きたくないって3時間目まで粘ってたんだけどムリそうでさっき連れてったのよ」

「………」

「わかりやすいね、全部知ってたんじゃない。嘘つき生意気仲良しコーハイめ」



―――昨日、6限が自習だったからしっかりと自習道具をもって俺は保健室に遊びに行った。もちろん勉強なんてそっちのけで昼寝くらいさせてもらおうかなのつもりで行ったんだけど。



『そういや、結婚することになったぞ』

『え、』

『大喧嘩してたけどまあ、なんとか?全然格好つかないプロポーズだったと思うけどな、一安心って感じ』

『……まじすか、おめでとうございます』



実はプロポーズする前に向こうの両親には承諾を得て、なんなら喧嘩中にもかかわらず一人で彼女の実家に向かったらしい強者である。
こないだの週末で挨拶を済ませとりあえず婚約をし、ちゃっかり籍まで入れたらしい。結婚式もろもろはもっと落ち着いた夏が終わるころにやるとか。

喧嘩ばっかりだと言っていた割には全然良好な関係。喧嘩するほど仲がいいとはこのことで、相変わらず言い合いはあっても変わらず仲良くやっているらしい。

しっかりと有言実行するのが浦野遥平なのである。保健室に帰った途端白衣を放棄するくらい教師としては何とも言えない男でも、長年付き合った彼女の前ではいい男なんだろう。


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