ステキな攻防戦
外交官の詳しい仕事内容はよくわからないけれど、東夏さんは夜の7時には帰ってくる。

「佐奈さん、ただいま」

「お帰りなさい、東夏さん」

玄関まで出迎えにきた私に、東夏さんは何かを渡してきた。

某国で創業された有名ドーナツチェーン店の箱だった。

「これは…?」

「ドーナツ、嫌いだった?」

「いえ、そう言う訳では…」

何で彼がドーナツを買ってきたのかわからなかった。

「期間限定の商品が出ていたんだ、夕飯を食べ終わった後に一緒に食べよう」

「ああ、はい…」

私が返事をしたのを確認すると、東夏さんは着替えをするために寝室へと足を向かわせた。

何だ、そう言うことか。

と言うか、
「東夏さんも期間限定とかを食べる時があるんだ」

私はそんなことを思った。
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