恋と、嘘と、憂鬱と。
第12章**夏休みの里帰り(前編)

真凛ちゃんへ颯真くんのことを打ち明けてからしばらくが経った。

それは、夏休み前の期末テストも無事終了したとある日の放課後のこと…。

部室には颯真くん以外の天文部員が集まっていた。

「ねぇ…!もうすぐ夏休みだしせっかくなら天文部らしいことしたくない?」

「天文部らしいこと…ですか?」

うふっと可愛らしく微笑んだのは久しぶりに部活に顔を出した遥奈先輩。

生徒会の仕事、大学受験の勉強と色々忙しい先輩は最近あまり部室に顔を出していなかったのだ。

遥奈先輩も仙道先輩も大学は推薦が貰えそうとのことだが、それに向けて準備が大変な様子。

「そう!私も依都も夏休み明けには部活引退だし…最後の思い出作りにと思って。夏休みの期間、1泊2日で天体観測なんてどう??」

天体観測…!

遥奈先輩の提案に私と真凛ちゃんの瞳が輝いた。

「いいですね…!でも、先輩達受験勉強…お忙しいんじゃないですか?」

莉里花先輩が控えめにそう尋ねると。

「まぁ、1泊くらいなら大丈夫!それに私と依都も指定校推薦もらえそうだし…決まるまで気は抜けないけど、ちょっとした気分転換も兼ねて、ね?」
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