婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
どうやってここから逃げ出そうか必死に考えていると、突然扉が勢いよく開かれる。四人の男たちは驚いて振り返った。
そこにいたのは、黒いフードを目深に被り足元まである漆黒のローブをまとった人物だった。ゆったりしたローブのせいで体型も性別もわからない。わかるのはフードからこぼれ落ちた燃えるような長く赤い髪だけだ。
「ああ!? 誰だ! ここは店じゃねえんだよ! とっとと出ていけ!」
ボスと呼ばれていた金髪の青年が声を荒げたが、まったく怯むことなく足を踏み入れてくる。私の前に立ちフードに手をかけた。
ゆっくりとフードを外す仕草から目が逸らせない。
まっすぐな赤い髪をかき上げ、妖艶な美女が姿を現した。フードを取る時にチラリと見えたスタイルは、とても魅惑的で羨ましいほどグラマラスだった。ピジョンブラッドの瞳に射貫くように見つめられる。
この真紅の瞳は魔女の証——。