婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
これは、やったのではないだろうか?
今まで付与してきたどの呪いよりも禍々しく、いい感じのオーラが出てる。私はリリス師匠に認めてもらうべく大急ぎでその仮面を見せにいった。
『リリス師匠! これ! これを見てください!!』
『ん〜? どれ? えっ……これはっ!』
呪いの仮面を見せたところ、リリス師匠の顔色が変わった。真剣な眼差しで呪いを吟味している。
『セシル……いいわ、いいわよ! 真実の愛に触れないと解けない呪いなんて魔女らしくて最高だわ! 合格よ!』
『本当ですか!? よかったー! これでダメならもう無理だと思ってました……』
自分の中にあった黒い感情をすべて込めたので、もう絞り出しそうとしてもカスすら出てこない。呪いにして放出したせいか、本当に心の中から怨みつらみがキレイに消え去っていた。きっとここで暮らしてるうちは、あんな感情はもう生まれないだろう。
『じゃぁ、この仮面は責任持って私が保管しておくわねっ!』
『はい、お願いします』
よく考えもせずに師匠に任せれば安心だと返事をした。後にこの決断が私の人生を大きく変えるなんて思ってもみなかった——