婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
確かに義妹のような邪念のあるものは近づけないようにと怨念を込めたけれど。ひとりくらいは皇帝を心から愛する人がいなかったの?
「全滅だ。だからどうにもならず解呪の魔女にきてもらった」
「あー、そう。それはなんていうか……残念ね。邪念を持っていると触れられない呪いだから……」
「だからこそ製作者である解呪の魔女を呼んだのだ」
「え? 私が作ったなんて、ひとことも言ってないわよ」
「この呪いの仮面を作ったのが解呪の魔女だということは調べがついている」
せっかく和らいだ空気が一瞬で張り詰める。
なんということだろう、私が作った呪いの仮面だとバレていた。悪魔皇帝の視線が深々と突き刺さって心が痛い。
許してもらえるかわからないけど、素直に謝っておこう。
「ご、ごめんなさい……」
「ほう、悪いとは思っているんだな」
ギラリと海色の瞳が光る。どう転んでも嫌な予感しかしない。
ニヤリと笑った顔がこんなに恐ろしいなんて、さすが悪魔皇帝だと心の中で呟いた。