婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
それからもわたくしは皇帝陛下に謁見するために、毎日皇城を訪れた。週に三回あるエル様との逢瀬の日以外は、毎日午後一番で皇城へ足を運んだ。
だけど執務室や謁見室に向かう途中で、必ず側近の誰かに捕まって追い返されてしまう。いくらわたくしが聖女でも力技で追い返されたら抗えなかった。
「もう、なんなのよ! この聖女であるわたくしが直接出向いているのに、いまだに謁見できないなんて!」
今日もイリアス宰相に追い返されて、イライラしながら屋敷に戻ってきたところで義兄に会ってしまった。あの女の兄だけあって、いつも暗く覇気がない。
「まあ、お兄様。相変わらず辛気臭い顔してるわね。用がないなら自室から出てこないでよ」
「……これから仕事だ」
「あ、そ。せいぜいわたくしのドレス代くらいは稼いできなさいよ!」
「…………」
「あー、もう! いっつも暗くてなにを考えているのか、わからないんだから!」
無言で出ていく義兄にさらにイラつきながら侍女にお茶を淹れさせる。ところが本当に使えない侍女でわたくしの飲みたいお茶ではなかった。
「ちょっと! わたくしが飲みたいお茶はこれじゃないわ! 淹れ直しなさいっ!」
「ひっ! 申し訳ございません! すぐに淹れ直します!」
侍女に当たり散らしてなんとか気持ちを落ち着けていた。