婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!

 それから十日後、わたくしとお父様は皇城に呼び出された。

「ふふっ、やっと陛下がわたくしに会う気になったのね!」
「ああ、セシルではなくシャロンを皇后にしたらどうかと陛下に提案したからな。やっと話を聞いてくださるのだろう」
「これであの魔女を引きずり下ろせるわ……!」

 何度もわたくしを追い返していたブレイリー団長に先導されて、謁見室に通される。深紅の絨毯の上を淑女らしい振る舞いで進んでいった。

「聖女シャロン・マックイーンでございます」
「ふむ、マックイーン侯爵とその次女、聖女シャロンだな」
「はい、相違ございません」

 わたくしは陛下から求婚される未来を想像して、心が浮き足立っていた。それをすました顔で覆い隠す。求婚されたら、まずは皇城に移り住んで、魔女を追い出してやるわ。それからわたくしの話をよく聞く侍女を集めるのよ。

 そんな未来の展望を描いていた。

「実はマックイーン嬢の聖女の資質に問題があると、教会から報告が上がっている。今日はその検査のために登城してもらった」
「……それは、どういうことでしょうか?」

 なのに告げられた言葉はまったく意味のわからないものだった。

 聖女の資質? そんなの聖属性の魔法が使えるのだから問題ないでしょう!? しかも不正ってどういうことなの?
 チラリとお父様を見ると、顔色が悪い。なにか心当たりがあるのだろうか?


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