婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!

 ここは皇城の庭園だけど、度々なにかの小動物が顔を出すのだ。

「あら、またウサギか猫かしら?」
「……そうですね。どなたかのペットが紛れ込んでくるのですが、薬草園を荒らされては困りますから、結界の補強をしておきます」
「お願いできる? もう少しで収穫できそうだものね」

 ノーマンは私の薬草たちへの愛を理解してくれる貴重な存在だから話も弾む。私が魔女でも態度を変えなかったし、皇后らしくしなくても笑って受け流してくれるから居心地がよかった。

「……随分と仲がいいようだな」

 和気あいあいとノーマンと話しながら薬草たちに水撒きしていたら、背後から聞いたことがないようなレイの低い声が耳に届いた。振り返らなくてもわかるくらい、刺すような凍てつく視線を感じる。

「皇帝陛下! し、失礼いたしましたっ!!」

 ノーマンは突然現れたレイに、真っ青になってその場に膝をついた。これでも皇后として認知されているから、気やすい態度はここだけにしてもらっていたのだ。

 ちょっとノーマンと世間話してたくらいで、なんでこんな空気になってるの!? ていうか、なんで皇帝陛下がこんなところに来るのよ!?

「なによ、ずいぶん暇そうね」

 レイの圧力に若干声が震えてしまったけど、別に悪いことなんてしてないから平然としたふりで答えた。


< 68 / 215 >

この作品をシェア

pagetop