婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
「……今日は予定していた謁見が延期になったから、時間ができたんだ。気配を探ったら庭にいるようだったから、ここまで来た」
「そう。で、なにか用なの?」
いや、時間があいたなら他のことしなさいよ。それに居場所がわかるからって、やたらと探らないでよ!
という言葉はなんとか飲み込んだ。これ以上刺激してノーマンに飛び火したら厄介だ。薬草愛を語れて理解してくれる仲間なんてそうそういない。
「セシルはなにをしていたんだ?」
「なにって、薬草の世話よ。愛情込めて育てると品質が上がるって、ノーマンから教わったから実践してるのよ」
「ほう、それなら笑顔で世間話する必要はないだろう?」
ちょっと悪魔皇帝の言っている意味がわからない。まさか世間話程度の会話すら私には許されないのだろうか? そんな項目は結婚誓約書にはなかったはずだ。それなら私はなにひとつ悪いことはしていない。
「え、世間話くらいいいでしょ?」
「違う。他の男に笑顔を向けるな」
なんですか、その嫉妬にまみれた男みたいな発言は。
いくら仲良しアピールするにしてもやりすぎだ。対人関係を円満にするために笑顔は必須なのだ。